当日の様子
2019年11月13日(水)茅ヶ崎市民文化会館にて、エコノミストの藻谷浩介氏を講師に迎え、『ローカルファースト 都市の挑戦~私たちは未来に何を創るか~』と題した講演を含む「第9回ローカルファーストシンポジウム」を開催しました。
データから現状を正しく読み取る重要性を強く説き、これからの地方都市の在り方について会場を埋めた400人の参加者に示唆して下さいました。
講演の内容を一部ご紹介
ローカルで経済をきちんと循環させる
「日本の経済は国際競争で負けている。」「バブル期に比べて株価は急落」といった言葉が連日のようにメディアから入ってくる昨今。私たちは否が応でもそれらの情報から、現在の日本経済が破滅への道を辿っているかのような印象を持っています。
地価や物価の高い首都圏に人口が集中する日本では冒頭に述べた経済の先行きの不安に加え、将来への備えなど様々な要因が足枷となり生産年齢層の消費が先詰まるのも当然のことかもしれません。
アメリカでは日本のように「東京でなければならない」という首都圏神話はなく、ローカルであることが問題にはなりません。首都圏人口には茅ヶ崎も含まれますが、だとすれば東京に頼らずともまちの経済は健全に成立するはずなのです。
答えはインバウンドを視野に入れた観光とそして農業、林業で、その共通項は「ローカル」
地域おこしには様々な手段があります。知名度を上げ、話題性で客数や売上を伸ばす、それにより所得が増える、増えたお金でますます魅力的なまちづくりへの投資ができる…このステップを上がり、好循環を構築することが「ローカルファースト都市の挑戦」ではないでしょうか。
パネルディスカッション
一部ご紹介
講演に続いて、後半のパネルディスカッションでは、元地方創生・国家戦略特別区域担当国務大臣、衆議院議員の石破茂さんや長崎県させぼ四ヶ町商店街協同組合相談役の竹本慶三さん、所沢プロぺ商店街振興組合理事長の井関克行さん、そして地元茅ヶ崎から茅ヶ崎青年会議所理事長の岡本雅司さんに地方都市の課題と未来についての意見交換をしていただきました。
― 茅ヶ崎の今後の在り方をどう考えますか
石破 今日は電車で茅ヶ崎へ来ましたが、駅を降りたらすぐにでも桑田佳祐と鈴木保奈美がいると思っていました(笑)。全国の人が茅ヶ崎に抱く憧れというのは端的に言えばそういうもので、その夢を壊さないまちづくりをするのも大事なことだと思います。
私はよくそれぞれの地域にある財産について「今だけ、ここだけ、あなただけ」という言葉で表しますが、それは地域の経済に付加価値をつけることでもあります。
茅ヶ崎にもそうした「良さ」が多くありますが、良さを発揮する取り組みをいかに自発的にできるかが鍵だと考えます。
竹本 宝物がたくさんあるまちですよね。自分のまちの宝を知っている人、気付ける人が多いほどまちは元気になります。今回、佐世保から同行したメンバーの中には熱烈な桑田ファンもいて、事前にまち歩きをした際にも大興奮で写真を撮りまくっていました(笑)これもこのまちの魅力の一つ。ただ地方から来る者にとって東京~茅ヶ崎間の距離がわかりませんでした。一時間もかからないと知れば足を延ばしてみようと思う人も増えるかも。そういう情報をたくさん発信してもいいですよね。
井関 所沢は茅ヶ崎と規模も似たベッドタウンですが、地元に愛着のある人が少ないことが課題です。駅前の商店街も地元資本の店は数店のみで殆どがフランチャイズ。これではいけないと私たちで取り組みを始めたところです。最近ようやく少しわき道に入ったところなどに個性的な店も出てきましたし、徐々に地元へ視線を向ける人も増えています。海なし県からみた茅ヶ崎は憧れの地で今後も参考にしていきたいと思っています。
講師プロフィール
『里山資本主義』著者
藻谷浩介氏
(株)日本総合研究所 主席研究員
(株)日本政策投資銀行 地域企画部 特任顧問 (非常勤)
特定非営利活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク 理事長 (無報酬)
❚ profile
山口県生まれの55歳。平成合併前 3,200市町村のすべて、海外 106ヶ国を自費で訪問し、地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し、精力的に研究・著作・講演を行う。
2012 年より現職。著書に『デフレの正体』、『里山資本主義』(KADOKAWA)、『完本 ・ しなやかな日本列島のつくりかた』、『観光立国の正体』(新潮社)など。
近著に、『世界まちかど地政学 Next』(文藝春秋)
パネリスト
元地方創生・
国家戦略特別区域担当 国務大臣
石破茂氏
衆議院議員
❚ profile
衆議院議員。鳥取1区選出。自由民主党所属。鳥取県八頭(やず)郡八頭町郡家(こおげ)出身。昭和32年2月4日生まれ(62歳)、血液型B型。昭和54年3月、慶應義塾大学法学部法律学科業。昭和54年4月、三井銀行(三井住友銀行)入行。昭和61年7月、旧鳥取県全県区より全国最年少議員として衆議院議員初当選、以来11期連続当選。防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、自由民主党政調会長、幹事長、国務大臣地方創生担当・国家戦略特別区域担当等を務める。著書は、「国防」「国難」「日本人のための「集団的自衛権入門」「日本列島創生論」「政策至上主義」など。